ふーやんのマレー語、インドネシア語言語考察

インドネシア語学習者からみたマレー語との違いについてコメントしていきます。。

使い方に気をつけたいマレー語の単語(2)

発音に要注意な単語 Malam

Malam(マラム:夜)

Salamat Malam (スラマット マラム:こんばんわ)

Malam 語尾のMの発音について要注意だ。日本人はNG発音(ン)になりやすい、あるいは、Mu(ムウ)と母音が入った発音にもなりやすい。

Malang (マラン)と聞き間違えると大変だ。不幸な、不運なという意味なってしまう。

Selamat Malam (こんばんわ)と言うつもりが、Slamat Malangと聞き間違えられると、不幸になっておめでとう、という意味だ。外人だからと笑ってもらえればいいが。。

使い方に要注意な単語 Bengkel

Bengkel(ベンケル:修理工場)

インドネシア語学習者にとって要注意だ。

 

マレー語、インドネシア語とも自動車等の修理工場を示すが、マレー語では、いわゆる英語のワークショップの意味も含み、修理工場以外に、展示会等の意味がある。

インドネシア語では、Bengkelはまさに修理工場以外のイメージはわかないが、
マレー語では、より意味が広く注意が必要だ。。

 

 

 

 

使い方に気をつけたいマレー語の単語

発音が要注意な単語(1)Jalan

Berjalan-Jalan(ブルジャラン ジャラン:散歩する、旅行する),Jalan(ジャラン:道)日本人の間でよく知られているマレー語/インドネシア語だ。

だが、Jalanの発音に要注意、日本人にとっては、語尾のN発音について、NG発音と同じになる。N発音が日本語にはない。カタカナで表記すれば、両方ともにンだ。

Jalan(道)、Jarang(めったにない)、Jalang(やりたい放題)が、全て日本人にはジャランと聞こえるし、区別して発音が出来ない。

特に、女性に向かって、Jalanのつもりでこの単語を使うとき、語尾のnをngと相手に聞き取られると、Jalangあばずれ女と言っていることになる。

笑われるぐらいですめば良いが、場合によっては、気まずい状況になるかも知れない。要注意だ。

日本語のンに近いのはNGだ。N発音については、意図的に舌を上あごにくっつけて、鼻から息がでないようにすれば、かなり原音近い音になる。

使い方が要注意な単語(2)Pantat

Pantat(パンタット:お尻)もインドネシア語学習者は、気をつけなければいけない。

インドネシア語では、普通にお尻の意味で、それ以上の特別な意味はない。

一方、マレー語では同じPantatが、女性の微妙な部分を意味するらしい。

こちらが、女性に対し何気なく使ってしまうと、場合によっては、頬っぺたをぶん殴られるぐらいの事態になるかもしれない。要注意だ。

 

 

 

 

同じ単語でマレー語とインドネシア語で意味が違う事例

Senang(スナン)
インドネシア語:楽しい、嬉しい マレー語:簡単な
Persoalan(プルソアラン)
インドネシア語:問題(problem)  マレー語:質問

Senang(スナン)は、インドネシア語の会話では、よく耳にすることばで、楽しい、うれしいといった意味だ。一方、マレー語では、簡単という意味で使われることが多い。

Persoalan(プルソアラン)は、インドネシア語では、問題という意味で、英語のPloblem に近い。マレー語では、質問という意味で、英語のQuestionだ。

マレー語で、Persoalan ini kamu senang ke?(プルソアラン イニ カム スナン カ?)と聞かれると、あなたには、この質問は簡単でしょう?という意味だが、

これを、インドネシア語学習者が聞くと、あなたが抱えているこの問題(problem)に対し、あなたは楽しいと思うか?といったようにイメージになってしまう。

同じような単語が並んでいても、別の意味になってしまうので通じない

上記マレー語のセンテンスは、インドネシア語では

Pertanyaan ini anda gampang kan?(プルタニャアンイニアンダガンパンカン)

といった表現になる。

Tengok(テンゴック)
インドネシア語:見舞う マレー語:見る
Kereta(クレタ
インドネシア語:電車、汽車 マレー語:自動車

Tengokは、インドネシア語では、病院にお見舞にいくという意味だが、マレー語では一般に見る、英語のSeeという意味で使われる。

Keretaは、インドネシア語では、電車、或いは汽車という意味だが、マレー語では、自動車のことだ。

マレー語で、Saya tengok kereta saya di garaj (サヤ テンゴック クレタ サヤ ディ ガレージ)は、私は私の車をガレージで見る、という意味だ。

一方、これをインドネシア語学習者が聞くと、私は、私の電車をガレージで見舞うとなってしまうので、何を言いたいのかさっぱり通じない。

上記のマレー語のセンテンス意味をインドネシア語で伝えるならば、Saya lihat mobil saya di parkir (サヤ リハット モビル サヤ ディ パルキル)と表現する。

インドネシア語とマレー語では、同じ単語でも意味がまったく違うケースが結構多い。

 

 

 

 

 

マレー語、インドネシア語のアルファベット

アルファベットについて、マレー語とインドネシア語の発音の違い

マレー語の発音

A(エイ)B(ビー)C(シー) D(ディー) E(イー)F(エフ) G(ジー) H(エイチ)I(アイ) J(ジェイ)K(ケー)L(エル) M(エム) N(エヌ))O(オー)P(ピー) Q(キュー) R(アール) S(エス))T(ティー)U(ユー)V(ヴイ―)w(ダブリュー) X(エクス)Y(ワイ)Z(ゼット)

インドネシア語の発音

A(アー)B(べー)C(チェー/セー) D(デー) E(エー)F(エフ) G(ゲー) H(ハー)I(イー) J(ジェー)K(カー)L(エル) M(エム) N(エヌ))O(オー)P(ぺー) Q(キュー) R(アール) S(エス))T(テー)U(ウー)V(フェ―)w(ウェー) X(エクス)Y(イェー)Z(ジー

マレー語では、英語の発音がそのまま使われ、インドネシア語オランダ語から入った読み方となる。このあたり両国の、歴史の違いが反映されていておもしろい。

個別の単語の発音について、例えば、cucu(孫)についてチュチュと発音するが、マレー語でもインドネシア語でも同じ発音になる。

インドネシア語学習者からみると、マレー語では、アルファベットのC について個別発音がシーであるのに対して単語の発音ではチュチュとなることについては何となく違和感を感じるところ。


外来語の変化の違い

日本語:駅
マレー語:stesen
インドネシア語::stasiun

日本語:バス
マレー語:bas
インドネシア語:bus/bis

日本語:タクシー
マレー語:teksi
インドネシア語:taksi

日本語:大学
マレー語:Universiti
インドネシア語:Universitas

日本語:警察
マレー語:Polis
インドネシア語:Polisi

日本語:セクション(課)
マレー語:seksyen
インドネシア語:seksi

日本語:活動
マレー語:aktiviti
インドネシア語:aktivitas

日本語:イミグレーション
マレー語:imigresen
インドネシア語:imigrasi

上記の事例のように、マレー語は英語から取り入れた単語について、発音はそのまま表記をマレー語表記に置き換えているケースが多い。一方、インドネシア語オランダ語の影響を大きく受けており、tion →si  ty→tas  ly→sasi といった変化がよく見られる。

日本語:中央の
マレー語:sentral
インドネシア語:sentral

などのように、そのまま双方で使われているケースもあるほか、インドネシア語ではかなり外来語が入っているケースが、マレー語より多いと感じる。

また、古くはイスラム商人によって持ち込まれアラビア語起源のことばも多く、例えば、Khabar(報せ)カバル、Awal(始め)等である。


 

 

独立運動指導者たちがインドネシア語(マレー語)を国語とすることを決めた

インドネシアは1928年に、オランダからの独立目指す青年たちにより開催された第2回青年の会議において、『一つの国家、一つの民族、一つの言語』の誓いがおこなわれた。

オランダ植民地時代のインドネシアは、蘭領インドと呼ばれインドネシアという国名もなかった。広大な領土と数百の民族をまとめるため、この独立をめざす青年たちの会議で、インドの島々という意味でインドネシアという国家名を定め、インドネシアという民族名を名のり、インドネシア語(マレー語)を国語とすることを決めたのだ

国語の採用については、マジョリティのジャワ人が使うジャワ語を国語とすべきだという勢力と紛糾したが、最後には、個別の民族の言語を国語とすると、国家としての統一が守れない。ということで、当時スマトラマレー半島で使用されていた、特にイスラム商人を中心に広まった交易言語であるマレー語が国語として採用されたという歴史がある。

インドネシアでは、当然数百にのぼる各民族は独自の言語を日常的に使っている、標準インドネシア語と各民族が使っている、ジャワ語、スンダ語、バリ語等は同じオーソロネシア語族に属するが、その違いはちょうどラテン語から派生した英語、ドイツ語、フランス語、オランダ語ぐらいの違いがある。

従って、ジャワ語はジャワ人以外には全く理解できないし、スンダ語、バリ語、他の民族語なども同様である。

私は、スンダ地方の中心地であるバンドンに10年近く在住経験があるが、スンダ語はほとんど習得できなかった。もちろんそれは、私が外国人ということもあるが、インドネシア人同士でもスンダ人以外としゃべるときは、スンダ人はインドネシア語を使うからである。インドネシア全国どこに行っても同様に各民族同士以外はインドネシア語を使うのだ。

日本語、インドネシア語、スンダ語の比較事例

日本語 お元気ですか
インドネシア語 アパ カバル?
スンダ語 クマハ ダマン

日本語 元気です ありがとう
インドネシア語 バイク  バイク サジャ トゥリマカシ
スンダ語 パンゲストゥ ハトゥルヌフーン

日本語 だいじょうぶ
インドネシア語 ティダ アパアパ
スンダ語 トゥク ナオン ナオン

日本語 愛してます
インドネシア語 サヤ チンタ カム
スンダ語 アブディ ボゴカ アンジェン

といったように全然違う。また、スンダ語には日本語のように尊敬語、丁寧語、俗語などと非常に複雑で、外国人にはとても学習困難だ。ちょうど日本語を勉強する外国人が苦労するのと同じだろう。また、良いスンダ語の辞書に出会うこともなかった。

挨拶程度覚えておけば、十分スンダ人にはうけるこは間違いないが。

ジャワ語やスンダ語のやっかいさからすると、標準語になりえなかったことがよくわかる。マレー語を国語にしたことは、本当に国家の統一、民族意識の高揚のために、すばらしい決断だったと思う。

マレーシア語もインドネシア語ももともとアラビア文字を利用していたが、アルファベット文字への変更と、マレーシア、インドネシア両国で表記法の統一もはたしており、急速に普及した。

 

 

 

 

マレー語で話すとみんなが喜ぶ

マレー語を使うとマレーシア人の反応が面白い

マレーシアでもクアラルンプール周辺の都市部では、ビジネスではもちろん、日常会話でも英語が使わている。

特に外国人の多いクアラルンプールの中心部では、タクシーの乗ったり、買い物に行ったり、役所に行ったりとか、日常生活の中では、コミュニケーションはほぼ英語の世界である。

したがって、当地では、小生もブロークンな英語で話しはじめるのだが、なにせこちらは、インドネシアから移ってきたばかり、ぽろっとインドネシア語が出てしまう。

とたんに相手から、にやりと” Boleh cakap Bahasa Melayu?”(マレー語がしゃべれるの?)と聞かれることになる。
反射的に"Iya SIkit sikit"(ええ、少しだけ)と返すと
"Kenapa anda boleh bercakap Bahasa Melayu"(どうしてマレー語がしゃべれるの?)とすかさず質問がとんでくる
"Sebab saya belajar Bahasa Melayu"(マレーシア語勉強しているから)とかっこつけると話がどんどん発展して、収集がつかなくなることがしばしば。

特に、マレー系マレーシア人だと、マレー語を話すと相手に好印象を持たれることは間違いない。ただ、相手が中国系、インド系の場合は相手によってさらっと話を流される場合と、それなりに食いついてくる場合と微妙ではあるが、まあ、悪印象を持たれることはない。

インドネシアではインドネシア語が国語として定着

一方、インドネシアでは、標準日常会話はインドネシア語なので、多少日本人がインドネシア語を話しても、まあ、それほどインパクトを与えることはない。

インドネシアでは、インドネシア語が国語、公用語として小学校から教育されるので、インドネシア全国でインドネシア語は通用する。地方では、ジャワ人はジャワ語、スンダ人はスンダ語、バリ人はバリ語などと各地方ごとに独自の言語も使っているが、一方で、標準インドネシア語は、すべてのインドネシア人が、読み、書き、話すことができる。

マレーシアでは、マレー語が国語であるが英語とのバランスがむずかしい。

マレーシアでは、マレー語が国語であるが、英語、中国語、ヒンディー語公用語となっている。小学校からそれぞれの民族がマレー人学校、中国人学校、インド人学校にでスタートするため、マレー語の習熟度はマレー人以外はまちまちだ。

子供は学校でマレー語の授業があるが、マレー系以外の親だと子供の質問に答えられないことも普通にあるようだ。

マレーシアでは、これまでの歴史の変遷の中で、国の発展のためには英語教育が必要ということで英語教育に力を注ぐと、マレー語能力が低下する。民族意識高揚のためマレー語教育に力を注ぐと、英語能力が低下するということで、歴代政府はジレンマを抱えてきた。このため年代によって得意とする言語が異なる結果となっている。

マレーシアに住む日本人はみなさん英語を使って生活されており、マレーシア語をしゃべる日本人にと会ったのははじめてだとよく言われる。最初は、私もほかの皆さんのように英語を勉強しようと思ったのだが、マレー語をしゃべるとマレーシア人に喜んでにいただけるので、ただこのシンプルな動機のみで、この際、まずはマレー語をきわめてやろうと、思っているところだ。

 

 

 

 

 

インドネシアから来るとマレーシア語の機内放送にびっくり

多少インドネシア語に通じている人なら、きっとはじめにびっくりするマレーシア語の機内放送

マレーシアの航空会社の航空便を利用すると。まず機内放送は必ずマレーシア語ではじまる。次に英語、日本行きであれば日本語の順になる。

Tuan Tuan dan Puan Puan ,selamat datang ke lapangan terbang antarbangsa KualaLumpur.
日本語でいうと 『乗客のみなさま、ようこそクアラルンプールへいっらしゃいました』といった意味になる。さて個別にみていくと…

1.Tuan Tuan dan Puan Puan(トゥアントゥアン ダン プアンプアン)

英語:Ladies and Gentlman 日本語:紳士淑女の皆様 インドネシア語:Bapak bapak Ibu Ibu

マレーシア語では女性と男性の順番が反対であるが、英語とほぼ同意語。一方、インドネシア語圏の人が聞くとかなりをお尻が痒くなる感じがするのではないかと思う。インドネシア語では、Tuanは外国人の男性に対する敬称であるが、やや古いことばであり、今では英語のMr.が使われる。Puanについては、インドネシア語では、、Puanとういう単語はなく、Perempuan(女性)が近いが、一般的に男性に対して女性全体に対して使われる言葉である。

一方、インドネシア語でTuan Tuan dan Puan Puanにあたることばは、Bapak Bapak Ibu Ibuであるが、マレーシア語圏の人が聞くとこれまた違和感を感じるだろう。Bapakは父親の意味し、Ibuは母親を意味するため。ため『おとうさーん、おかあーさん』と呼ばれている感じがするのではないか。Ibu Bapak とはまさに両親の意味とである。

2.Selamat Datang ke~(スラマット ダタン ク ~)

英語:Wellcome to ~ 日本語:~へようこそ インドネシア語:Selamat Datang di~

インドネシア語でも同じ意味であるが Selamat datang  di  と前置詞の部分が ke ではなく di が使われることが多い。マレーシア語ではke~へと方向を表す前置詞を使うこのに対し、インドネシア語ではdiという~に存在する場所を表す前置詞を用いる傾向にあるということだが、日常的にはどちらを使ってもほぼ違和感はないはずだ。

3.Lapangan Terbang Antarbangsa(ラパンガン トゥルバン アンタルバングサ)

英語:International Airport :  日本語:国際空港  インドネシア語:Bandara Internasional
Lapangan Terbang(空港)はインドネシアでは印象的には古い表現であり、今では空港の意味ではBandaraが一般的に使われている。また、Antarbangsa(国際)はインドネシア語では、英語からインドネシア語化したInternasionalがそのまま使われれている。(InternasionalのtがSに変化していることに注意)

 このように、一文だけ比較してもマレーシア語とインドネシア語は、現代では似て非なるものになっている。マラッカ王国が1600年にポルトガルにより征服され滅亡したあと、マレーシアは英国により植民地化され、インドネシアはオランダにより植民地化されたため、まったく違う運命をたどり現代に至っているのだ。